お侍さん

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 ――――――――……。  怨憑きの、素質?  それはどういうことだ。私も、あのような化け物になってしまうというのか。  そんな、そんなこと――――あるはずが、ないではないか。私は人間だ、あんな怪物とは違う。 「先ほども言った通り、怨憑きってのは文字通り――――怨みに憑かれた存在だ。元が人間だろうがそうでなかろうが、激しい怨み、自分で処理しきれない感情の渦に取り込まれてしまえば、容易に生まれる可能性がある。あんたがさっき蜘蛛に見せた激情――――あれが何らかの”怨み”から来るものならば、非常に危うい」 「そんな……」 「またあの時の感情に呑まれてしまって、なおかつ俺が側に居なかった場合――――あんたが人でいられる保証はないんだよ」  烏が容赦なく突きつけてくる言葉に、私は絶句する。
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