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「私が――――あんな怪物になってしまうかもしれないと、そう言うの」
でも、だけど。
あの時の私には何がどうなっているのか、まるでわからなかったのだ。
湧き上がってくる理由のない怒り。ただ感情に任せて暴れまわりたいという衝動。そして、目の前の異形が憎くて憎くてたまらず、どうしてもその存在が許せなくて――――それだけは、強く覚えている。
けれどあの時の感情が、烏の言う『怨み』なのか。そう言われると少し疑問は残る。
どうにも釈然としないのだ。
もしあれが怨みならば。
それはあの蜘蛛に対してではなく、もっと別の何かに対してではなかっただろうか。
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