深月と掛け軸

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 誕生日が近づくにつれ、私はそわそわと胸を躍らせていた。また一つ大人になるのだという、よくわからない感慨に耽ってみたりもした。  けれど、何も変わらなった。    幼いころから、同年代の女の子たちとは少し馬が合わなかった。もちろん人並みには仲良くしていたし、表立って喧嘩をしたことなどもない。威張るようなことではないが、それなりに慕われてもいたように思う。  けれど私と彼女たちの間には、確かな壁があった。いや――――私の方が一方的に、壁を感じていたのだろうか。  私はどういうわけか、同年代の女の子たちよりも、男の子たちと馬が合った。
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