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深月と掛け軸
二日前。六月二十日。
私は、十七歳の誕生日を迎えた。あっけないものだった。
私は十七歳というその肩書に、ひそかに憧れめいた感情を感じていたのだと思う。理由はわからない。常日頃から落ち着きがなく子供っぽいと、周囲から必要以上に幼く見られることにコンプレックスを感じていたのかもしれない。もしくは、クラスの友人たちよりも一足早く歳を重ねることで、ある種の優越感に浸ることができると思ったからかもしれない。もしくは――――一つ歳重ねることによって、これまでの自分が見ていた景色に何か変化が訪れるのではないかと、そんな勘違いをしていたからかもしれない。
いずれにせよ、今となってはそんな幼稚な考えこそが、私のことを周囲の人間に小さく見せていたのだと気づいている。
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