第1話:苦手な優等生

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『禁止行為3箇条』もあるわけだし、 これ以上、厄介な事件を起こしたら 職を失いかねないかもしれない。 だから、このまま 平穏に過ごすのが一番の得策なのだ。 そう心の中で誓っていると 山根先生は ニヤッと笑いながら おれの顔をのぞきこんできた。 「って、思うだろ? でも、油断していたら いつの間にか惹かれ合って、 おれみたいに結婚することになるかもよ?」 予想外の告白に おれはギョッと驚いた。 「え! 山根先生、生徒と結婚されてたんですか!? 」 眼鏡をかけて、 いかにも真面目そうで 派手な恋愛とか全く無縁そうな山根先生が、 生徒と結婚していたなんて・・・。 意外すぎて、 しばらくポカーンとしていると、 山根先生は、 「ま、もちろん 嫁が卒業してからだけどな」 と言った。 「は・・・はあ・・・、 そりゃそうですよね・・・。 生徒が在籍中に先生と結婚なんて、 ありえないですもんね・・・」 まだ頭の中が混乱しているおれの肩を ポンポンと山根先生が叩く。 「確かに、生徒達には 大人の雰囲気はまだ足りないかもしれないが、 大人の女性には無い ありあまる『パワー』があるから、 高山も気を付けろよ」 そう言うと 山根先生はさわやかに その場を去っていった。 忠告だったのか、 それとも「女子生徒と恋愛してもOK♪」 と言いたかったのか、 どっちかはよく分からなかったけど、 『教師と生徒』の恋愛なんて マンガやドラマの世界でしかありえないよな、 と、この時はそう思っていた。
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