第3話:ドキドキ初デート

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HR中におれと目が合い、急に顔が真っ赤になってうつむいた西森。 予想外の反応におれまでも動揺してしまって、オロオロしていると、 「高山ちゃん、どうしたの?早くプリント配ってよ」 と生徒からつっこまれてしまった。 「あ、ごめん、ごめん。 なんか虫が飛んでいたような気がして、 ちょっとビクッとしてね・・・」 おれがそう言うと、生徒達もビクッとして教室内を見回す。 「え!何!? ゴキブリでもいたの!?」 ウソの「虫発言」にみんなが敏感になってしまったようだ。 そんな中、おれはなんとか冷静さを取り戻し、 「今、配ったのは進路調査の用紙だ。 また詳しいことは吉川先生から説明があると思うけど、 来週までに各自記入して提出するように」 と説明したところで、HR終了のチャイムが鳴り始めた。 「じゃ、今日も良い一日を!」 普段言わないような言葉を言いながら、 おれはそそくさと教室から飛び出す。 ドアを『ピシャン!』と勢いよく閉めると、 「はああ・・・・」 と、力尽きたようにその場にしゃがみこんでしまった。 西森がかわいすぎる。 なんとか学校では冷静さを保とうと思っていたが、 授業中にあんなかわいい表情されたら、 冷静でいられる自信が無くなってきた。 先生と生徒の『ヒミツの恋愛』、 これは思っている以上に難しくて切ないモノなのかもしれないな・・・。 が、『ヒミツの恋愛』の現実は、そう甘くなかった! 西森とは学校では顔を合わせるものの、 2人で話をする機会なんて全く無し! 付き合い始めて1週間ぐらいたつけど、 まともに会話した記憶がおれには無い! なんとかチャンスを作ろうと、ある日の放課後に、 「西森、資料作りの手伝いをお願いできないか?」 と勇気を出して声をかけてみた。 『職権乱用』ではあるが、こうでもしない限り、 2人で話すチャンスなんて無いからな! 西森は突然のお誘いに「え?」と驚き、顔を上げる。 よし! 西森も興味を持ってくれた! これは大チャンス! と思ったのだが・・・ 「高山ちゃん、資料作りだったら私たちが手伝うよ!」 「そうそう!夏菜は勉強で忙しいし、任せといて!」 と言って、他の女子達がググっと割り込んでくる。 「えっ、おまえらも部活で忙しいだろ!?」 予想外の展開に、 あわてて止めに入ったおれだったが、 「そんなの気にしないで♪ 高山ちゃんと一緒にいたいもん!」 と、女子達に取り囲まれ、身動きが取れない状態に・・・ そんな様子を見ていた西森は、 「そうですね、私、忙しいから他の子達にお願いしてください」 と冷たく言い放つと、さっさと教室から出て行ってしまった。 あああーっ! まさかの展開!! 西森と二人きりになりたくて取った行動だったのに、 完全に裏目に出てしまった・・・。 それから西森の機嫌が超悪くなり、 メールで『今日は悪かった』と謝罪文を送ると、 『うるさい、勉強のジャマ』という返事が返ってくる始末。 付き合い始めて1週間、 すでに『別れ』の危機に瀕しているおれ達だった・・・。
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