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第4話:教育実習生にメラメラ?
私、西森夏菜、高校2年生。
県内有数の進学校で、学年トップの成績を保ち、先生、他の生徒からは「優等生」と言われている通り、一生懸命努力して「優等生」を演じてきたつもり。
親からも「良い大学に行って安定した職業を」と、小さい頃から言われ続け、その期待を裏切らないようにがんばってきた結果、今の「優秀な自分」がいるのだと思う。
でも・・・
自分の人生、何かが足りないような気がいつもしていた。
連日、家と学校と塾の往復だけで、休日もどこかに出かけることもなく家で勉強。
どこか一緒に遊びに行くような親しい友達がいるわけでもなく、心の奥では「孤独」を感じていたのかもしれない。
だからといって、その「孤独」をどうやって無くしていいのか全く分からない。
いつも一人で過ごしていたから、どうやって友達を作ればいいのかも分からないし、他の生徒達が何をして遊んでいるのかも全く知らないし、
それより第一「今の自分」を変えるだけの勇気が無かったんだと思う。
だから、私はあきらめた。
この「現状」を変えようなんて思わないように。
ただただ過ぎていく無味乾燥な「灰色の毎日」に抗うことなく生きてきた。
そんな時に、あの人は目の前に現れたのだ。
******
キーンコーンカーンコーン
「授業、始めるぞー。
席に着きなさーい。」
月曜日の2時間目は地学の授業。
先生が『先生』の顔をして、教室に入って来た。
学校中の誰もが知らないけれど、私と先生は(仮)の「恋人同士」。
別に私がそれを望んだわけではなく、先生が、
「仮でもいいから、つきあってくれ!」
という、わけの分からないことを言い出したため、仕方なく『仮の彼女』になったわけだけど・・・。
「じゃあ、今日はこの前の続きで、教科書78ページから」
黒板に文字を書く先生の後ろ姿をじーっと見つめる。
身長は180㎝あるって言ってたっけ?
確かに、並んで歩くと私よりずっと高くて、見上げないと顔がよく見えない。
手もとっても大きくて、つないだら、私の手は完全に先生の手にスポッと包まれてしまう。
そんなことを考えながら、ボーっと先生の後ろ姿を見つめていると、
「じゃあ、この問題を・・・」
と言って、先生が急にこっちに振り返ったので、私は思わずドキッと固まってしまった。
私と目が合ったことで、先生もビックリした顔で固まっている。
「高山ちゃん、どうしたの?」
他の生徒が、先生の不審な動きを指摘した。
ああ、もう!
なんであの人は、バレバレの行動を取っちゃうんだろう?
私と目が合っただけで驚かないで欲しいのに、
いつまでたっても、あのクセは直らないみたいだなあ・・・。
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