隣の絵描きは憎い

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                ***  俺はあいつが嫌いだった。スポーツはあまり得意じゃなくて、休み時間はいつも自分の席で寝たふりをして過ごすタイプ。クラス文集のランキングコーナーでは、みんな一回はどこかに名前を載せなきゃっていう暗黙の了解があったから、「大人っぽい人ランキング3位」みたいな当たり障りのないところに入っていた。  俺があいつを嫌いだったのは、声が小さくて聞き取りづらいとか、どんくさくて球技大会で足を引っ張るとか、そういう理由ではなかった。そんな感じの、いわゆる陰キャは他にも少なからずいたし、ちょっと小ばかにすることはあっても、嫌いになるような対象ではなかった。  あいつは、自分の描きたいように、自由に絵を描いていて、俺はそれが気に食わなかった。
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