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俺の描いた絵は単なるお手本であって、何かを表現したものではなかった。だから、俺の描いた絵が金賞で、あいつの絵が佳作だと聞いても、うれしい気持ちとは別に、複雑な感情もあった。
表彰が終わったあと、謎の緊張を覚えながら、おそらくクラス連絡以外では初めてのあいつとの会話を試みた。
「お前も賞とってたんだな。すげーじゃん。」
「……別に。たいしたことないよ。」
それだけ言ってあいつは、クラスの列の最後尾へと歩いて行った。
別に?たいしたことない?ふざけんなよ。あんなにガチで絵描いてたじゃねえか。自分の描きたい絵を、周りはどうでもいいみたいな顔をして。
他人を気にしないで自分の好きなことに没頭するっていうのは、ある意味で暴力だ。みんな周りの目を気にして、多少なりとも他人に縛られて生きてる。
だからこの感情は、きっと醜い嫉妬だ。
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