隣の絵描きは憎い

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 僕は彼のことが嫌いだった。彼はクラスの人気者で、取り立てて顔がよいというわけではなかったけれど、バスケ部で足が速くて、声が大きかった。バドミントン部の彼女がいて、たまに二人で歩いている姿を見かけた。彼らを見かけるたび、歩幅を少し縮めて彼らとの距離を広げようとしていたのを覚えている。  僕が彼のことを嫌っていたのは、僕がクラスの日陰者で彼が人気者だったからでも、高校に入学してすぐのころ僕にやさしくしてくれた女の子が彼の隣を歩いていたからでもない。  彼は絵を描くのがうまかった。それだけで、僕が彼を嫌うには十分だったと思う。
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