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謎が解明したのは月曜日になってからのこと。
私が知ったのは夜、子供達が寝静まった後のことだった。
「市のサイト見た? 昼休憩の時にはもう更新されてたんだけど……」
子供達を寝かしつけた夫がリビングに戻ってきて、昨日のサイトを開いて見せてくれた。
食器を洗う手を止め、夫の持つスマホを覗き込む。
『投稿フォーム』というボタンを押すと。
エイプリルフール!
の文字が現れた。
「え?……あ、今日、四月一日だっけ?」
すっかり忘れていた。
仕事している時にカレンダーを確認して、そういえば今日はエイプリルフールだと思ったのだが。……忙くてすぐに頭から離れてしまっていた。
『エイプリルフール!』
の文字の下には一言、こう添えられていた。
改めて『夫婦』を見直す
良い機会になれば幸いです。
「……冗談、ってこと?」
思わず、夫の顔をまじまじと見つめる。
「まんまと乗せられたな」
乗せられたのは面白くないが。
確かに。
夫の良いところを改めて見直した気がする。
「まさか、そう来るとはね……」
夫は相変わらず、皺なんだか、目なんだがわからないくらい、目を細くして笑っていた。
そう。
この笑顔なのだ。
一緒にいよう、いたいと思ったのは。
穏やかで優しい人。
一生を共に歩む伴侶。
きっとこれからも。
私の隣には彼がいるのだろう。
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