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きらいにはなりたくないけど
ぼくは、そのとき、ぼく自身が足のすくむほど高い塔にいることを知った。
この町には、もともとこんな高い建物など、なかった。
あるのは、さびれた商店街と、学校や病院、その他の公共施設だけだ。そんな町の中でぼくらはせいぜいが、同じような大きさの同じような間取りの家屋で、同じような生活を送っている。
今のこの生活に大きな不満があるわけじゃないけれど、それでも若い世代の者たちにとっては、ここの生活はあまりにも変化にとぼしいもののようだったらしい。
若者の多くは、より明るく光りかがやく建物のあるほうへと移動してしまった。
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