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第1話 5月の朝のモラトリアム
夏の匂いがした。
5月の透明な朝の光の中で。
風が木々を揺らし、さわさわと揺れる木漏れ日の中には、いつも足早に通り過ぎていた世界とは全く違う景色が広がっていた。
別に山を登ったわけではない。
ベリーに囲まれた北欧の森を訪れたわけでもない。
澄んだ光が広がる清浄な空気を思いっきり吸い込んだような気分になったけれど、僕は家から歩いて5分の公園にいた。
数日ぶりに外に出たら5月の朝が広がっていた。
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