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「ううむ…。
どの怪談も、何となくどこかで聞いたような話だなぁ。特にオチも無いし、何かモヤモヤが残るし…」
俺は、その本のページをめくりながら、ため息混じりに呟いた。
『その本』とは…
俺の恋人、チャコの部屋の本棚に有った『芸能人たちが語る心霊体験集』なる文庫本である。
ふと、壁時計を見てみると…現在、午後六時。
窓の外は、まだ明るい。
ここは、そのチャコが住んでいるアパートの一室。
と言うか…
現在、俺…ヤマトとチャコの二人が一緒に住んでいるアパートと言った方が…
まあ、正確な表現になるだろうか。
そう。
現在、俺とチャコはこのアパートに同棲しているのだ。
実は、チャコは目下、小説家を目指していて、せっせと作品を書いては、様々なクリエイター・サイトに投稿する日々を送っている。
しかし…最近、彼女はどうやらスランプみたいだ。
チャコの『執筆活動』は、もっぱら日中の時間帯。
そして、夕方になると居酒屋のバイトに出掛け、深夜まで帰って来ない。
だから、その間は俺がこの部屋で留守番をしているという訳だ。
チャコは小説家を目指しているだけあって、部屋の本棚には、実にたくさんの文庫本や単行本がずらりと並んでいた。
俺は、彼女がいない間は、もっぱらそれらの小説を読みながら時間を潰す。
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