あの日俺と親友は

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あの日俺と親友は

 『来世は映画のワンシーンみたいな青春を送りたいなぁ』と病室のベッドで親友が呟いた。  げっそりした顔と腕に繋がれた点滴。俺は(うつむ)きスニーカーの結び目を眺めた。 「……もっと、自分のやりたい事を積極的にやれば良かった。……お前も、後悔のない人生を歩めよ」 「……サトシ……お前……突然何言ってんだよ……」 「……時間は無限じゃねぇんだ。大切にしないと、気付いた時には終焉(しゅうえん)を迎えてるんだぜ」  親友のボソボソとした声に俺は我慢できず、とうとう叫んでしまった。 「ただの食あたりで何カッコつけてんだよ! 腹壊しただけでは死なねぇよ!」  間抜けな友のセリフに俺は大部屋にもかかわらず声を上げて笑った。入院患者の冷ややかな視線がビシバシ突き刺さる。 『もし、俺が退院出来たあかつきには……お前に協力して欲しい事があるんだ』  そう言ってサトシは静かに目を閉じる。まるで重病人の最期の願いのようだ。    だが一つ言わせて欲しい。お前、明日には退院だよな!  
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