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Ⅰ
***
「ボクね、大きくなったら、先生のお嫁さんになる」
「ふふっ。それを言うならお婿さんね」
「そっか。じゃあ、ボクがお婿さんで、先生がお嫁さん?」
「そういうことになるかな。紫雲君、先生のことお嫁さんにしてくれるの?」
「うん。だからこれ……」
紫雲の背後から、真っ白な輪っかがゆっくりと姿を現す。
小さな両手で大切そうに持ち直すと、しゃがんでいる美空の頭に、紫雲はそっと、それを乗せた。
「ボクが大人になるまで、待っててね」
「わかった。ありがとう」
美空は、頭の上に乗せられた純白の花冠に手を添えると、嬉しそうに紫雲の頭をくしゃりと撫でた。
***
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