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「ねぇ。あれやってよ」
カウンターを覗き込み、晴斗が甘える様に言った。
「あれって?」
「よくあるじゃん。ケチャップで『はると♡』って書くやつ」
「ぷっ」
「え? 何で笑うの?」
「だって……」
部屋から紫雲が、呆れた顔でこちらを見ている。
「お前もかよ。キショ親父」
「まさか、お前も……?」
振り向いた晴斗の顔を、紫雲が睨む。
「いい歳して、キショいんだよ」
「なんだと? 歳は関係ないだろ、歳は」
「うわー。マジさぶっ。引くわー」
「紫雲!」
「あははははは」
堪えきれず、美空が腹を抱えて笑い出した。
「ほんと、そっくり」
涙を流しながら、美空はいつまでも笑い続けた。
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