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当時、彼女は年少児クラスのぱんだ組を担当していたが、美空のクラスとは頻繁に交流していたのだ。
年少児と年長児がペアを組んで活動することは、大抵の園でカリキュラムに組み込まれている。年少児がスムーズに園生活を送れるよう、年長児がお世話をするのだ。
小さい子の世話をすることにより、思いやりの気持ちや年長児としての自覚を自然に芽生えさせていくのが狙いだ。
少子化で、兄弟姉妹の少ない現代っ子ならではのカリキュラムと言えよう。
「めっちゃイケメンになってたんでしょ? 身長百八十オーバーだっけ?」
「ひゃくはちじゅう……?」
百七十センチそこそこの哲太が、目を白黒させて大袈裟に仰け反る。
「いや、実際わかんないよ。見上げた感じ結構高かったから、そのくらいかなって」
美空の脳裏に、観葉植物の陰からゆっくり姿を現した紫雲の長身が蘇る。食事の手を止め振り返った女性客の甘い吐息が、耳の奥に聞こえたような気がした。
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