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「今度紹介してよ。でも、流石に私のことは覚えてないかなぁ?」  片手を頬に当て、恵令奈が思案する。可愛いというより綺麗な方に分類されるであろう恵令奈の形の良い眉が、僅かに歪む。  美空と並ぶとどうしても自分の方が年上に見られてしまうことが不満ではあるが、それなりにモテるタイプだ。  そのせいか、この歳になっても特定の彼氏は作らず、適度に楽しんでいるようだ。  本人曰く、遊べるうちが華らしい。その華の命がいつまで続くのかは不明だが。 「この機会に、年下イケメンと付き合ってみるってのもいいかもね」 「ちょっと! うちの息子に、手、出さないでよ! てか、年下すぎでしょ? 下手したら犯罪だから!」 「あらやだ、奥様ったら。もう母親気取り? いつまでも子離れしない姑は嫌われますわよ」 「姑って……」 「それにもう十八でしょ? 結婚だってできるじゃん」 「あのねぇ……」 「二人とも! 遊んでる暇ありませんよ! 他にやることいっぱいあるんですからね!」  先程のお返しとばかりに意見する後輩に、「生意気ー!」と軽口を叩きながら、美空と恵令奈はわざとらしく作業の手を速めた。
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