552人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
「めちゃ、付いてるわ。まさか駅前で会えるとはね?」
嬉しそうにことりは話す。
「松河小理さん?聞いていいでしょうか?」
「はい、神坂真名さん、どうぞ。」
くすくす笑いながら、ことりは手を挙げためいを指名した。
「お母様と妹さんの所に行ったはずが…どうしてあの駅に居たんでしょうか?
そして、この荷物をどうして私が持っているのでしょう?」
「おかん、再婚してんもん!相手いい人やし?家の中にうちの部屋もあるし?妹も優しいし?けどなぁ…一から仕事探さなあかんしな?あとな、うちの大阪弁おかしいらしいんや!母親の聴いてうつったから、完璧やないらしい。
知ってるか?中途半端な大阪弁使うとな、しばかれんねんで?」
「言葉が多少違うくらいで戻って来たっていうの?荷物は!」
「それな?ほぼ靴やねん!」
「なお、意味が分からんわ!何で持たせた!」
めいは鞄を放り投げた。
「あ、何するねん!大事な靴やねんぞ!」
「だ、か、ら!私には靴は履くだけの物なの!自分で持て!」
「あぁ…。待って!めい!なぁ……よいしょ!レッド、また正社員で入れてくれるかなぁ?」
「うーん…。要人、戻ってるしねぇ。バイトもいるしねぇ?仕事はないしねぇ?」
「そんなぁ…。じゃあ、めい、またマンション住まわせて?まだあのマンションでしょ?5万でしょ?」
「いいけど、少し状況は変わったよ?ことりのいない2ヶ月の間に…。」
事務所に向かいながら、二人は会話する。
「どう…変わったの?1階の事務所、撤退した?」
ことりは不思議そうに聞いた。
「ううん。お隣が埋まった。あと、下の住人が新潟さんの家族になった。」
「え?マジで?高科引っ越したか!ついにめいを諦めたか!」
嬉しそうにことりは言い、高らかに笑う。
「ううん、隣に高科が越して来た。」
「げっ!それは少し嫌やな…。」
凄く嫌そうな顔をことりがしたのを、めいは見逃さない。
笑いながら続ける。
「でも、家賃は4万に下がった。」
「おわ!マジで!それ凄いわ!じゃあ、折半、2万!いいよね?」
「部屋空いてるしね?どうぞ?」
めいが笑顔で言うと、ことりはめいに抱き着いた。
最初のコメントを投稿しよう!