お茶でも…。

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「めちゃ、付いてるわ。まさか駅前で会えるとはね?」 嬉しそうにことりは話す。 「松河(まつかわ)小理(こさと)さん?聞いていいでしょうか?」 「はい、神坂(かみさか)真名(まな)さん、どうぞ。」 くすくす笑いながら、ことりは手を挙げためいを指名した。 「お母様と妹さんの所に行ったはずが…どうしてあの駅に居たんでしょうか? そして、この荷物をどうして私が持っているのでしょう?」 「おかん、再婚してんもん!相手いい人やし?家の中にうちの部屋もあるし?妹も優しいし?けどなぁ…一から仕事探さなあかんしな?あとな、うちの大阪弁おかしいらしいんや!母親の聴いてうつったから、完璧やないらしい。 知ってるか?中途半端な大阪弁使うとな、しばかれんねんで?」 「言葉が多少違うくらいで戻って来たっていうの?荷物は!」 「それな?ほぼ靴やねん!」 「なお、意味が分からんわ!何で持たせた!」 めいは鞄を放り投げた。 「あ、何するねん!大事な靴やねんぞ!」 「だ、か、ら!私には靴は履くだけの物なの!自分で持て!」 「あぁ…。待って!めい!なぁ……よいしょ!レッド、また正社員で入れてくれるかなぁ?」 「うーん…。要人、戻ってるしねぇ。バイトもいるしねぇ?仕事はないしねぇ?」 「そんなぁ…。じゃあ、めい、またマンション住まわせて?まだあのマンションでしょ?5万でしょ?」 「いいけど、少し状況は変わったよ?ことりのいない2ヶ月の間に…。」 事務所に向かいながら、二人は会話する。 「どう…変わったの?1階の事務所、撤退した?」 ことりは不思議そうに聞いた。 「ううん。お隣が埋まった。あと、下の住人が新潟さんの家族になった。」 「え?マジで?高科引っ越したか!ついにめいを諦めたか!」 嬉しそうにことりは言い、高らかに笑う。 「ううん、隣に高科が越して来た。」 「げっ!それは少し嫌やな…。」 凄く嫌そうな顔をことりがしたのを、めいは見逃さない。 笑いながら続ける。 「でも、家賃は4万に下がった。」 「おわ!マジで!それ凄いわ!じゃあ、折半、2万!いいよね?」 「部屋空いてるしね?どうぞ?」 めいが笑顔で言うと、ことりはめいに抱き着いた。
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