じゃあね。

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「おい、そっち行ったぞ!」 『分かってる!くくる、時間プリーズ!』 『45秒後、右前から出ます。35…34、33…。』 「キタァ!!待て!こらぁ!!」 小さな裏路地でことりの声が響いた。 「張り切ってますねぇ…。」 お茶を飲みながら、通信機から聴こえる声に新竹が言う。 「警察からの依頼でしょ?そうそうこんなに自由に派手に動ける事はないですからねぇ。」 くくるが話して、通信機をオンにする。 「間も無くことりさん、要人さんが道を塞ぎます。右に誘導して下さい。」 『らじゃ!』 『要人、定位置に着いた。ここで捕まえるか、右に行かせればいいんだな?』 「そうです。右の道はドン詰まりで、めいさんが待機中です。」 「順調ですな。昔の友人に頼まれましてね?千羽の事件やら、岡部さんの事件でも随分と便宜を図ってもらった相手でね。ここらで恩返ししたいんですよね。 ブラック地区に潜り込まれたら、小者は探し難いと言うのでね。 めいなら心配ないし…あれ以来、輪を掛けて強くなっちゃって…。 体も、心も…。竜堂の親父さんに千羽の若い頃を見る様だ…なんて言われて……まぁ、怖いですねぇ。」 「そんな事ないわよ?千羽とは違うわ。あの子は…感情が素直よ!」 後ろから美希が顔を出して、新竹に向かって言った。 『右!行ったで!!』 通信機から大きな声がする。 「そのまま追って下さい!」 くくるもモニターを見ながら大きな声を出した。 「要人はどうした!女の子に追わせるって…おかしい!!」 『念の為、後方にいまーす!』 「後方におらんと、追いつけやぁ!!」 『めい!行った!』 「はいはーい。目視確認。捕獲行きまーす!!」 「うわぁ…。同情するわ…。めい、今朝は朝ごはん抜きで来てるから、早く終わらせて食べたいんだ…。」 思わず、ことりが呟く。 「だなぁ…。捻りがいつもの倍だ。どれ、保護に行こうかな。」 笑いながら要人は手を貸しに行った。
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