高科 貴規

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そんな感じで一年が経過、今に至る。 進展は何もない。 「エンドストームに入ったか?」 「はい、今の電話がそうでした。二人で入ったそうです。」 「無事に出てくればいいけどな……。余計なお世話か…。」 タバコを吸いながら窓からエンドストームの方角を見た。 この一年、ずっとめいを見て来た。 めいのいる会社は真っ当な探偵社に見える。 だが時々、めいは怪我をしたりしている。 多少の怪我は探偵社にもあるだろう。 女性が顔を腫らしたり、腕を折る様な仕事はそうないはずだ。 レッドブルグカンパニーはグレーゾーンの探偵社だと、それだけで分かる。 気付いた事はもう一つ。 仲のいい、同居しているもう一人の女。 いつも二人で動いていて、彼女が怪我をしそうな時は何故か、めいは守るのだ。 あの時も…彼女のフォローをしながら男たちを相手にしていた。 何処で習ったのか…護身術よりもハイレベルな闘い方。 10歳からあのビルに引き取られて、18で自立してビルを出ている。 その前はいくら調べても出てこない。 未だ継続して調べさせていた。 「俺が、たかが小娘に……。何でかねぇ?」 首を傾げた。 「ボス? めい…さん。少し噂を聞いたのですが…。」 右腕とも言える、高科より年上の40過ぎの大石が飲み物を持って横に来て話した。 「噂?」 「ええ、竜堂の親父さんと仲がいいそうで、知り合い、みたいですが、噂では…その……。」 「スパッと言えよ?」 「親父さんの愛人じゃないかって…。」 「バカ言え!めいは19、親父さんは65だぞ?」 言いながら思い出した。 親父さんの過去の愛人の中に18歳がいた事……。
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