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「靴を入れられたとか?」
「はい、転びそうになって…。なんか、ドアが開かないし、それに一応、靴なので、中を洗った方がいいかなぁって…。すみません。」
「いえ、ご連絡ありがとうございます。」
「優しい…。20代微妙な同じ歳位…。」
通信機に小さな声で話し掛けた。
「あれ?開きますよ?どうぞ。掃除はしておきますので。」
靴を渡されて、両手で受け取り頭を下げる。
「ご迷惑をお掛けして…ごめんなさい。」
「いいえ、では…。」
自動ドアから外に出るのを見る。
(あれ?掃除は?)
意外にも真面目なことりは、出て行く彼の背にそう思う。
そして乾燥機の靴があった部分をハンカチを出して拭いた。
ハンカチが汚れていないので、靴を見て叩く。
「私の靴が……。」
小さく呟いた。
『ことり!11時、逃げた!裏にいた!追って!邪魔されてるの。』
通信が入った。
『邪魔って…誰に?』
靴を労る余裕もなく通信は入り、手に持ったまま管理人の男性とほぼ同時に外へ出て、11時方向に走った。
『6畳程のスペースに4人…本当に寝るだけよ?男臭い!コンビニ弁当のゴミの山。これ、社員住宅て言う?』
「管理人も戻ったから5人だね?平気?」
『一人逃げたから4人。平気。だって家出少年でしょ?』
「相手にもならない……か。見つけた…あれかな?走る金髪!」
『それだ。金髪!間違いない。顔は確かに写真の子だった。確実に捕まえて!炎天下を、また彷徨きたくないなら…。』
「絶対!捕まえる!」
ことりは金髪の背中を追い掛けた。
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