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この女
パーキングを少し歩いた場所で黒いボックス車が道に停止して、ガラの悪そうな男たちが3人程出て来た。
「お前達、さっきワゴン車に乗ってただろ?」
「な…何でしょうか?さっきって……。」
震えた声でことりが言う。
「聞きたい事があるんだ。ちょっと付き合ってよ?」
「ここで聞いて下さい。」
ことりを庇い、前に出てめいが言うと、背中を押される。
「乗んな?別に何もしない。話が聞きたいだけ…。」
後ろの男が静かな声で言う。
「き……」
叫ぼうとしたことりの後ろから口を塞ぎ、ことりを先に乗せる。
「どうする?お友達だけでもいいけど?」
後ろの声に、めいは静かに従った。
ドアが閉まると車はギュウギュウ詰めのまま、10分ほど走り、元の立体駐車場に着いた。
二人の男が車から降りて、リーダー格のスーツの男がめいとことりの前に来た。
「何ですか?」
キッと男を睨んだ。
「何もしないって…。知ってる?人間は死体の方が隠すのが大変。」
楽しそうな顔で笑っていた。
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