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砂の中から
なんて顔してんの
最初にそう言ったのは、あんただった
道端に座りこむボクを、
作り物のボクを
ひどい顔だよって、腕をつかんで、引きあげた
それから、
ボクたちは、街を歩いた
毎日、毎日、ふたりで夜の街を歩いた
そうやって、ボクは、
街に、自分に温度があることを知った
あんたに出会って、ボクは、
笑うことを、覚えた
泣くことを、覚えた
痛みを、覚えた
人間としての全てを、教えられ、与えられ、
ボクは、ようやく、作り物じゃなくなった
やっと、あんたと同じ、人間になれたと思ったのに
あんたは、たくさんのものを、与えるだけ与えて、消えた
スッと、まるで泡が消える時みたいに
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