悪役令嬢はパン屋を開店した

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5.パン屋営業中の出来事 私は目を覚ましたので起き上がる事にした。 起き上がると昨日手紙をまた見る。 この手紙がどうしても気になる。 一体差出人は誰なんだろうと考えることにした。 どっちにしてもこの手紙の差出人を見つけないといけない。 私は着替えるとパン屋に向かった。 向かうと例の女性が立っていた。 素通りしようとすると声をかけられた。 「おはよう、パン屋の店主さん」 「…………」 私は黙って過ぎ去ろうとしていた。 しかし、女性は私の後をついてきてまた声をかけてくる。 「無視しないで下さる? 少しお話いいかな?」 「…………」 私は黙ってパン屋に向かっている。 もうすぐパン屋に着きそうだった。 女性はまだ私についてきていた。 一体何なのよ、私に用でもあるのかしらね。 仕方ないので立ち止まると私は女性に声をかけた。 「私に何の用なの? 用件があるなら早く言って頂戴」 「そうね、パン屋はどのくらいやるつもりなの?」 「そんなの貴女には関係ないでしょ」 「それもそうね、でも、貴方のしていることは……」 女性はお話をしている途中で黙ってしまった。 「ごめんなさい、急用ができたわ、またね」 女性は私の目の前から消えた。 言いかけでどこかに行くなんて気になるじゃない。 私はお店の準備をしないといけないのだった。 シャッターをあげて鍵を開けると店内に入ることにした。 営業の準備をしないとね。 準備をしていると例の女性が店内に入ってくる。 「まだ私に何か用があるの?」 「……店主さん、悪い事は言わないわ、パン屋はもうやめなさい」 「貴方はどうしてそんな事を言うの? 嫌がらせ?」 「店主さんの事を思って言っているのよ」 そろそろ開店のお時間なのにお話をしている場合じゃないわね。 どうやって退散してもらおうかしらね。 「あのね、開店時間なのね、ごめんなさい」 私はお仕事をすることにした。 女性はその場で立ち尽くしている。 本当に邪魔なのよね。 「あのね、そこにいると邪魔なの」 「ごめんなさい、店の外に出ているわ」 やっと店内から外に出てくれた。 これでお客さんの邪魔にならないで済むわね。 それにしてもあの女性はよく私に絡んでくるわよね。 一体何をしたいのかがわからない。 私はほっとく事にした。 しばらくお時間が経過すると女性は店内に入ってきた。 私の近くまで来ている。 「お客さんがぜんぜん来ないじゃない、貴方は経営には向いていないわ」 「そうかもしれないわね、でも、このパン屋は潰させない」 「どうしてパン屋にこだわっているの?」 「貴方にお話する必要があるのかしら?」 私は見知らぬ人にパン屋を続ける理由を話すわけにはいかない。 なぜなら、パン屋を続ける理由は特別な理由だからだ。 こんな人にお話したら何かが起こるに決まっている。 「お話する必要はないわ」 「貴女もしかして私に興味あるの?」 「そ、そんなことあるわけないでしょ」 女性の反応がおかしいわね。 きっと何かを隠しているわね。 こうなったら白状させるしかないと感じた。 「何か隠しているでしょ? 素直に白状なさい」 「隠している事なんてないわ」 「神様に誓ってもそう言えるのかしらね?」 「………………」 女性は黙っているようだった。 このままでは埒が明かないわね。 「白状してくれないと悪戯するわよ」 「そ、それだけはやめて」 「じゃあ、お話して下さい、お願いします」 「わかったわ、貴女の母親と言ったら信じる?」 いきなりなんて事を言うの……この人は……。 確かに私がパン屋をしている理由は母親を探す為でもある。 しかし、純粋にパン屋が大好きだから経営しているのも事実。 こんな人が母親なわけがない。 私は頭の中が混乱している。 どうすればいいのよ……。 「貴方がパン屋を開店していると聞いて私が邪魔をしていたのよ」 「どうしてそんな事をするのよ、私の母親ならそんな事をしなくてもいいじゃない」 「貴方は商売というのを甘くみているわね」 「こんなまだ高いパンを売り出してお客さんが来るわけないじゃない…… それに貴女が作るパンはすべて不味いわね」 さっきから言いたい放題。 こんなの悔しいわよ……。 正論過ぎて私は何も言えなかった。 「じゃあ、どうすればいいのかを教えて下さい」 「その前に私の事を信じる気はあるの?」 「いきなり私が母親ですって言われても無理があると感じます」 母親と名乗る女性は考え込んでいる。 しばらく考えてから女性はこう言ってきた。 「貴方の事を助けてあげます、まあ、お手伝いをさせてもらいます、いいわよね?」 「は、はい、喜んでお願いします」 この人が私の母親だろうとそうでないにしても関係のないことだった。 このパン屋を潰さないように必死に経営するだけのこと。 今はお手伝いをしてくれるだけでも私は嬉しかった。 とりあえず、店内の事は母親と名乗る女性に任せることとしましょう。 私は店の外で宣伝をすることにした。 「美味しいパンはいかがですか~、ぜひ立ち寄って下さい~」 宣伝してはいるがお客さんが来る気配を感じない。 このままでは本当にまずい状況になる。 回避する方法があるのかしらね。 母親と名乗る女性はパンのお値段を下げてスマホで画像保存をすると その画像をSNSで投稿した。 「何勝手な事をしているのよ、やめて下さるかしら」 「貴女こそ、商売をなんだと思っているの」 「そ、それは……」 「生半可な気持ちでしているのならパン屋なんてやめた方がいいわね」 私はまた正論を言われて何も言い返せないでいた。 この母親と名乗る女性の言う事を聞かないとパン屋は潰れてしまうのかしらね。 「私は貴女の事を信じるからパン屋を助けて下さい」 「最初からそうすればいいのよ、じゃあ、一緒に頑張りましょう」 先程、女性がSNSで投稿したせいなのか、お客さんがたくさん来ている。 私と女性でお客さんの対応をしている。 だんだんとお客さんは減っていくけど、今はまだ忙しい。 しばらくしてお客さんが誰もいなくなった。 信じられない事にパンが全部完売していた。 この人は一体何者なのかしらね。 本当に私の母親なのか怪しいけど、経営に対しては信用できそうだわ。 私は閉店準備をしている。 パンも完売しているから今日は営業終了ね。 「貴女、私の母親じゃないでしょ?」 「もしかしてバレていたのね」 「私の母親は未だに行方不明」 「まあ、私は貴女の母親じゃないわね、でも、これで貴女の事を助ける事ができて満足しているのよ」 もしかしてボランティアで私の事を助けてくれていたのね。 ここはしっかりとお礼を言わないといけないわね。 「その、手伝ってくれてありがとうございました」 「お礼なんてしなくていいのに私が勝手にした事だからね」 「貴方のおかげでどうすれば経営できるのかがわかったわ」 「なら、このパン屋潰れないようにしてね、応援しているわ」 私は頷く。 女性は店の外に出るとどこかへと消えてしまった。 私は閉店したことによって家に帰ることにした。 家に帰ると私は 「今日は本当に疲れたわね」 「それにあの女性の素性がわからないわ」 私は例の女性の事を考えることにした。 パン屋開店してから例の女性とは色々とあった。 素性を探る必要があるわね。 明日はお店をお休みにして例の女性の事を探りましょう。 私はベッドの上に仰向けになると目を閉じて寝ることにする。 良い夢が見れることを祈ります。
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