友情か愛か 前編

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「やだっ…!遥輝!」 「優翔…止めらんねぇ」 「あ"ぁぁっ!い、たいっ」 涙が出てくる それに気づいた恭雅が涙を拭ってくれる でも止まらない ぽろぽろと溢れてくる 「っ優翔。手ぇ貸してくれ」 「っあっ、あっ、っぅ」 恭雅、熱い 痛い 苦しい 辛い 気持ちいい 全部がごちゃごちゃになって、訳が分からなくなる 「あっ、あぅっ、あ、んっ!〜〜っ!」 「…っうっ、はっ」 「……っ」 ごめん 2人がそう言ったのを最後に意識が途切れた 次に目が覚めたのは、まだ遥輝の部屋だった 体が綺麗になっていて、服も着せられていた 遥輝と恭雅がベッドの側で寝ていた カッと顔が赤くなる 腰が痛いし、喉も少し痛い ―ごめん帰る― 紙にそう書いてベッドの上に置いてから、2人を起こさないように部屋を出た 遥輝の家の玄関を出て、走り出す 全速力とまではいけないけど、とにかく走った 気づかなかった 好かれているとは思っていたけど、まさか恋愛感情としてとは思わなかった だって、俺は特になにもしてない 普通の友達として2人と接していたのに 女の子みたいに可愛くないし、声も高くない ふわふわしてて柔らかくもない 苦しかった 友達と思ってたのは俺だけだったの? 自宅の玄関を開けて乱暴に靴を脱ぐ リビングの方から声がした気がするけど、何も返さなかった そのまま2階に上がって部屋のドアを開けて中に入る 閉める時にバタンと大きな音が鳴ってしまった ベッドに寝転がる 誰かが階段を登ってくる音がした ドアをノックされる 「優翔?どうしたの」 「な、んでもない…」 「あんた、声おかしいじゃん。中入るよ」 「ダメ!」 だめって言ったのに姉ちゃんが入ってきた 俺を見て驚いた顔をする 「優翔、なんで泣いてるの」 「なんでもない」 「声枯れてるし」 涙を拭ってくれる あの時の風景がフラッシュバックした 反射的に姉ちゃんの手を払ってしまう また姉ちゃんはびっくりしている 「っごめ」 「それで何でもないって言うのはおかしいからね?ほら、何があったか吐け」 言える事だけでいいからと頭を撫でられる 姉ちゃんの優しさに、張り詰めていた糸がプツンと切れた気がした 涙が出てきて、目の前の姉ちゃんの姿が歪む 久しぶりに声を上げて泣いてしまった 姉ちゃんは、何も言わずにずっと頭を撫でてくれていた
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