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「あぁ…。ついに爆発したか」
「え、爆発?」
結局姉ちゃんに全部話した
姉ちゃんは何も言わずにずっと静かに聞いてくれて、頭を撫でてくれた
遥輝と恭雅にされたことも、何も言わずに逃げてきた事も全部
「あの2人は相当我慢してたんだろうね」
「我慢って…何の…」
「優翔を襲わないように、優翔を泣かさないように。無理だったみたいだけどね」
そう言ってスマホを弄る姉ちゃん
「2,3ヶ月前かな。あの子達が私に会いに来たの。優翔の事を恋愛として好きになったから、それだけでも知っておいてください。もし俺達が優翔を泣かせてしまったら、その時は殴って下さいって」
姉ちゃんが言う言葉に驚きを隠せない
だって
だって、2,3ヶ月前って
そんなに前から俺の事好きだったの?
そんなに前からずっと我慢してたの?
「流石に殴らないけどね。あの子達は十分頑張ったんだろうし。ほら、これも。優翔に聞かせておいてくださいって言われたんだけどね」
姉ちゃんがスマホの画面を見せてくる
動画だった
でも、そんなの見た事ない
「見せなかったよ。だから、あの子達はもう優翔には関わらない。あの子達から優翔に話しかける事は無いだろうね」
「な、んで」
「この動画見たらわかるよ」
そう言ってスマホを差し出してきた
震える手でスマホを受け取って再生する
遥輝と恭雅の声が聞こえた
「わかった?」
「…なんで…」
「それは自分で答えを出しな。優翔の友達でしょ?それとも、もう友達じゃないかな。あの子達は、何も気付かない、何も変わらない優翔を見てずっと我慢してた。この動画を先に見せてたら、優翔はあの子達とどうした?」
どうした…
ずっと友達でいたいと言っていた、と思うけど
「ずっと友達っていうのはしんどいんだよ。自分は相手の事が好きなのに、相手には恋愛対象として見られてないってことだからね」
あの子達の為にも、きちんと答えを出してあげな、と俺の部屋から出ていった姉ちゃん
きちんと答えを出せって言われたって
今までずっと友達だったんだから分からない
好きな人がいた事さえないのに
あぁ頭が痛い
1日で色んな事があったから、脳内容量オーバーだよ
「みず……」
ふらふらと部屋を出て1階に降りる
リビングのドアを開けてキッチンの方へ歩いた
「ちょ、優翔?顔赤いけど…!?優翔!」
姉ちゃんの言葉が遠く聞こえる
足に力が入らなくなって、そのままフローリングに体が近づく
ぶつかる前に腕に支えられた
「重いなっ。こら起きろ優翔!」
「ごめ…むり…」
目が閉じていって、視界が暗くなっていった
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