友情か愛か 前編

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「知恵熱かなー。取り敢えず寝とけ」 「ん…ごめん姉ちゃん」 結局、目を覚ましたのはあれから数時間後で、横で姉ちゃんが見ててくれた 母さんは夜勤らしい 父さんは姉ちゃんに追い払われたみたいで、リビングで拗ねているらしい 時計を見ると、夜の12時を過ぎていた ぼーっとしていると、お腹が鳴った そういえば晩御飯食べてなかったな お腹の音を聞いた姉ちゃんが腰を上げた 「お粥作ってくるから。それまでゆっくりしてな」 「ん」 なでなでと俺の頭を撫でてから、アクエリベッド横に置いてるからと言って部屋を出ていった のそりと起き上がってコップを取る ふわりとラップが被せてあった ラップをとってごくりと飲む 暖かくなっていた喉が冷やされて気持ちいい コップにラップを被せてまたベッドに潜る ベッドが軋む音 遥輝と恭雅にされたことを思い出してしまった またジワ、と涙が出てくる 考えると頭がぼーっとする 考えるなって言われてるみたいだ 「ぅ…」 「優翔起きてる?」 「うん…」 暫くしてから姉ちゃんが来た お盆を持った姉ちゃんがベッド横に座る 皿とスプーンが2個ずつ置かれていた 俺の視線に気付いた姉ちゃんが口を開く 「あー…作り過ぎたから。私も食べようと思って」 そう言ってお皿に取り分けている 「こんな時間に食べたら太るよ?」 「別に良いよ。太った方がとやかく言われないで済むし」 誰からとは聞けなかった 姉ちゃんムスッとしてるし 「ほら食べて。余ったら父さんの胃袋に入れるし」 「いただきます」 起き上がって皿を受け取る ふわりと梅の香りがする 姉ちゃんはもうパクパクと口に入れて食べていた スプーンですくって口に運ぶ 味が薄めで美味しい 「美味しい」 「あひはと」 もぐもぐしながら嬉しそうに姉ちゃんが口角を上げた 「あんまり考え過ぎないであげて」 「え?」 ニコリと笑ってこちらを見る姉ちゃん 「考え過ぎないってのもあれだけど、あんたはただでさえ鈍いんだから。考えないで直感で行動しな」
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