友情か愛か 前編

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「え…」 「でも」 食べ終わった自分の皿にまたお粥を入れて姉ちゃんが言う 「友達と恋人の境界線はきちんとつけてあげて。友達なら今まで通り友達。もっと近くで一緒にいたいんなら恋人。中途半端はダメだからね」 「……ん…」 「まあ明日土曜日だし、ゆっくり休みな」 そのあとは姉ちゃんと他愛ない話をして 父さんが覗きに来て 体は動きそうになかったから濡れタオルで体を拭いて テキパキと姉ちゃんが世話をしてくれて 気付いたら俺は寝ていた 『あ、遥輝。恭雅』 2人が前に居る 俺の方を見たのに背中を向けて進んで行く 『え…待って、待ってよ』 走っているのに追いつけない 遥輝も恭雅もこっちを見てくれない 行かないで 『待って…行かないで…!』 どこに行くの 2人して俺を置いていくの そんなの嫌だ さみしい 『こっち見てよ…遥輝、恭雅…!』 遠くに居る2人がこちらを振り向く 2人とも無表情だ 『は、るき…きょうが…?』 『じゃあな優翔』 『もうお前には近づかない』 『なんで…』 そう言ってまた離れていく 嫌だ… そばに居て 『行かないで!』 「っは……はぁ」 「優翔大丈夫?」 「姉ちゃ…」 「すごいうなされてたけど。なんか嫌な夢でも見た?」 呼吸を整えて起き上がる 汗がすごい 「ううん。大丈夫」 「…そう?ならいいんだけど」 ぽんぽんと頭を撫でて姉ちゃんが自分の部屋に戻っていった 電気がついてるからまだレジンしてるのかな ぽふんとベッドに寝転がる あの夢は嫌だ もう見たくない そのままずっと朝までよく眠れなかった
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