友情か愛か 前編

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「あー、癒される。空気が澄んでるわ」 「そう?」 「あ、私からしてって事だから」 電車で5分ほど揺られ、ショッピングモールに来た 今は本屋さんに来てる 小説買おうかな 姉ちゃんはマンガを物色しだすと長くなる だから本屋さんでは基本的に別行動をする 姉ちゃんがふらりと棚の方に消えたので俺も小説の棚に向かった 暇な時に読むくらいだから適当に選んで買ってる 最近は電子書籍が多くなったりしてるみたいだけど、俺は直接手に取って自分でページをペラペラめくる方が好きだ 1冊手に取ってあらすじを読んで中身を少し見る うーん、好みじゃないな 置いてから、違うところに行こうと1歩下がると後ろにいた人にぶつかった 咄嗟に振り返って謝る 「すみませ…ん…」 「あぁ…悪い。…平林(・・)」 「え…あ…」 「昨日は悪かった。大丈夫か?」 「…うん」 「それなら良かった。じゃあ」 スタスタと本を持ってレジの方へ向かって行った 恭雅だった 突然だったし、びっくりした 昨日の今日だから口が動かなくて、何も言えなかった いつもみたいに笑ってくれなかったし なにより 名前で呼んでくれなかった 『優翔』 俺が言えたことじゃないんだけど 俺が2人から逃げたんだから 逃げなきゃ良かったかもしれない あー…だめだ 考え始めたらエンドレスになる やっぱり買うのはやめようかな 「優翔?何してんの?」 「あ…姉ちゃん」 「ぼーっとしてさぁ。買いたいのあった?」 「ううん。買わない」 「そ?じゃあ次!手芸店と100均!」 今日は決めるの早かったな もうレジ袋持ってるし 結構大きめのやつ
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