夏と言えば? 後編

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カシャと内カメで写真を撮る 俺は、ブレスレットをつけた左手をピース 恭雅はほんのり微笑んで、ブレスレットをつけた右手をピース 何でもない普通の写真だけど、手首と首元に同じ輝きがある それだけで嬉しい 写真を見るだけで、ゆるゆると口が緩んでいく 「その写真送っといて」 「おっけー」 アプリを開いてトークに写真を送っていると、姉ちゃんから動画が送られてきた その後に、ありがとうございます、ごちそうさまです、とも送られてきた 動画を再生すると、俺と恭雅がネックレスとブレスレットをつけあっている所が撮影されていた 視点が横からってことは… いつまでたっても画面から目を離さない俺を見て、恭雅が首を傾げる そっと左側を見ると、姉ちゃんと遥輝が死にかけていた 恭雅も、俺の視線を辿って気付いたみたい 「はぁーもう、ラブラブしすぎ」 「雰囲気が甘すぎるわ。グラブジャムンかよ」 「何それ」 「クソ甘いお菓子」 「食べた事あるの?」 「1個だけな。甘過ぎて吐きそうになったけど」 雰囲気が吐きそうって事か? なんか傷付く んむぅ、と眉間にシワが寄る 「いい意味で甘い、だから。優翔と朱雀の雰囲気は吐きそうじゃ無いから。むしろwelcomeだから」 と遥輝から訂正が入った その横で、姉ちゃんがキラキラした目を向けている 俺と恭雅がつけているネックレスとブレスレットを、交互に眺めてふふふと笑った 「お互いに束縛し合う…良い」 「束縛?」 「アクセサリーによって意味合いが違ったりするの。確かネックレスは首輪で、ブレスレットは手錠、だったかな」 「あー、だからか。優春、変な顔してたもんな」 「お互いが好きすぎて束縛する、っていうのは良いよね。愛が深い」 「優春って色んなジャンル読むから、妄想凄いよな」 2人の意識が違う話に向いた 俺の横では、話についていけてない恭雅がいる 少し眉間にシワが寄ってるから、考えてるのかな 「萌えを補給したので、手芸店行きましょうか」 「そうですね」 ほら行くよ、と急かす姉ちゃんに、慌ててついて行く 「行こ。すざ…恭雅」 「はは。うん」 手を出して呼びかけたけど、やっぱり慣れない 今までずっと、朱雀君って呼んでたから 恭雅が、笑って俺の手を取る 指を絡めて、きゅっと力を入れると、恭雅が嬉しそうに微笑んだ
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