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           ・  「謝ろう」  そう決めて来た。  絶対に昼休み謝ろう。  でも、なんて言おう。  肝心の謝罪の言葉を考えずに来てしまった。  「ごめんなさい」  シンプルにそう伝えるだけでは私の気が治らない。  ちゃんと、どこを申し訳なく思っているのかを伝えたい。  うまく言えるかな。  そう考えていると、朝の予鈴がなって先生が気怠そうに教室に入って来た。  あの三人は席は今日も空席。  それ以外の皆はちゃんと来ている様だ。  遅刻があの三人だけなのは珍しい。  「このままあの三人、どっか行ってくれないかなぁ〜」  先生が咳払いをして「ホームルーム始めるぞ」と言うと、最後まで往生際悪く立っていた生徒も堪忍して自分の席に着いた。  「えーっとなぁ、まず話さなきゃならんが事ある」  そう言って先生は一呼吸置いてから暗い声のトーンのまま話し始めた。  「昨日の夕方、茂木、新城(あらき)塩川(しおかわ)の三人が逮捕された。」  クラスが一気にざわつき始める。  「ざまぁ」「これで退学じゃん」「クラスが平和になるわ〜」と皆思い思いを口にした。  「静かに。理由は喧嘩だ。相手はこの学校の一年生。情けない話だ。」  え。  その相手って。  「今回警察の温情もあり…」  「杉浦和人君ですか!?」  私は気付くと、クラス中に響き渡る声を出して立ち上がっていた。  「え? あ、まぁそうだけど」  先生は気迫に押されたのか曖昧にも相手が和人だと言うことを認めた。  と言うことは…。  私は教室を飛び出し、一年生の教室へ走った。  和人のクラスの扉を開けると、皆の視線が一気に集まる。  そんなことも気にせず私は和人を探した。  やっぱり…。  席が一つ空席になっていた。  そしてクラスを見回しても和人の姿はそこには無かった。  「おい。何してんだ。ホームルーム時間だぞ。自分のクラスに…」  先生が言い終わるよりも先に私は走り出していた。  下駄箱で上履きをローファーに履き替え、昇降口を出て正門を抜けた。  駅までの道のりを走って、スマホをかざして改札の中へと入る。  電車が来るまであと五分。  一分、一秒がなかなか進まない。  「早く来て…」  私は半分泣きながら電車を急かした。  ホームに電車が入ってくると空いている席に座らず扉の前に張り付いた。  着いたらすぐ走って和人の家へ向かうのだ。  一秒でも早く彼に会いたい。  
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