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結城は鴨川警察署捜査一課若手教育係の腕章を見せて、南雲の件を話した。
尾瀬沼は南雲が毒殺された事に驚き
『な、南雲が………だ、誰に殺されたんだ………』
結城は
『まだ調べてる最中でわかりません。』
尾瀬沼は
『知ってる事なら答えるから聞いてけれ………』
結城は
『ありがとうございます。助かります。それでは南雲さんの奥様は?』
尾瀬沼は
『南雲の最初の嫁さんとは別れてるんだ。一人子供が居て、南雲が引き取った。名前が洋二。二人目の嫁さんは連子で娘が居たはずだ。ただ、別れたと聞いた。』
結城は南雲のアパートの天井裏に置いてあった箱の中に入ってた写真を見せ
『真ん中が南雲さんで、男の子の方が洋二さんで、もう片方の女の子が二人目の奥さんの連子ですか?』
尾瀬沼は写真を見て
『そうだ。しかし古い写真だな。』
結城は
『女の子の名前はわかりますか?』
尾瀬沼は
『済まん、覚えてねぇな。この写真ぐらいの時に一度見たきりだったから覚えてなくてな………』
結城は
『ちなみに二人の奥さんは今どこに?』
尾瀬沼は
『最初の嫁さんは知らないけど、二人目の嫁さんは別れた後に暫くして亡くなったはずだ。』
結城は
『やっぱり親友だけあって詳しいですね。』
尾瀬沼は笑って
『たまに南雲が先祖の墓参りに帰って来ててな。その時に色々話を聞いている。二人目の嫁さんも俺らと同級生でな。』
結城は尾瀬沼の話しに
『ど、同級生だったんですか。旧姓はわかりますか?』
尾瀬沼は
『当時マドンナ的存在でな。旧姓は石黒麗子。ただ麗子さん、別れた後に旧姓にもどさず、母方の祖母の姓名が途絶えてしまうって話しで母方の祖母の名前を継いだはずだ。あれ?石黒性に戻したんだっけな?覚えてない。済まん、その辺り記憶か曖昧だ………』
結城は
『いえいえ、昔の事ですから………その母方の祖母の名前はご存知ですか?』
尾瀬沼は
『それは聞かなかったし、南雲も言ってなかったな………』
結城は
『石黒麗子さんが写ってる写真はありませんか?』
尾瀬沼は立ち上がり
『南雲の住んでた家の横の敏男の家にあるかもしれねぇ。』
結城は
『敏男さん………?』
尾瀬沼は何も言わず玄関から外にでて、慌てて結城と野間口も尾瀬沼の後を追った。結城は
『あの………玄関の鍵、閉めなくていいんですか〜っ………』
野間口は
『尾瀬沼さん、行っちゃったよ。俺らも追いかけないと………』
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