2人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
土曜の午後、ローカル私鉄の改札出口から、繁華街に向かって伸びる歩行者天国。
通りの両側には都会からの出向だろう。
○イや、東Q百貨店、ROFTの入ったテナント等、商業ビルが立ち並ぶ。
若者が寄り付きやすい様に企画されているよなあ、と僕は思う。
たった今、ビル上階(と言っても地方の事。7階止まりだ)の貸し会議室で、商談をまとめてきた僕はケソタッキーの一階で遅い昼食を取っている。
通りに面したカウンター席でガラス一枚先を眺める。
着飾った若者たち。
着飾っていない若者たち。
デパートの紙包を抱えた、年配の方々。
お疲れ様です、僕と同様、スーツ姿で土曜も勤務のオジサマ達。
皆それぞれ目的に向かって歩いていく。
地方都市特有の平和な光景…しかし。
そんな人混みの中、風変わりな人物が佇んでいるのが、かじりついた骨つき肉ごしに見えた。
薄汚れた身なりの男。最初は浮浪者かと思った。
ボロボロの外套は解けた包帯の様に風にたなびき、
ダークヒーローのまとったマントの様だ。
立てられた襟元は顔の下半分を覆い隠し、表情は読み取れない。
が、ボサボサの頭髪の合間に見え隠れする眼光は鋭く、
『獲物を探している』
かの印象だった。
最初のコメントを投稿しよう!