22人が本棚に入れています
本棚に追加
「蓮はさ。もう少し、紗綾ちゃんの事を信頼してやれよな……。ずっと学業優先して、断ってた専属モデルの契約だって。紗綾ちゃんは、お前と桃花さんのために引き受けたんたぜ?」
「お姉ちゃん、が……?」
『成績は、絶対に落とさない!』読者モデルの仕事を始める時、姉は両親と僕に、そう宣言した。その姉が。
学業よりも、仕事を選んだ。
桃花さんと、僕のために。
(これは、お姉ちゃんの期待に、答えないとな……)
なんて、納得していたのに。
勇人が「正直、女装した蓮よりも、紗綾ちゃんの方が100万倍可愛いからさー。心配しなくても、蓮に惚れたりしねーよー」とかなんとか言ってきたので、無言で電話を切った。
……本当は『女装した僕より、桃花さんの方が100万倍可愛いからな!』と、言い返したかった。
勇人の素直なところ、本当は羨ましく思う。本人には、絶対に言わないけどね。
最初のコメントを投稿しよう!