会いたかった

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 僕は今。女の子の格好をしている。僕の趣味では無いけれど、僕の意思であることに、変わりはない。  桃花さんのイメージに合わせるため、今日のウィッグは明るめの茶色。ストレートヘアーで、長さは腰まである。もちろん、メイクもバッチリだ。  Tシャツの下が、太ももの真ん中まで見えるミニスカートでさえなければ、もう少し、堂々と会えたのかな? 「やっぱり、可愛いー! イメージ通りで、良かったー」  桃花さんは能天気に微笑んで、Tシャツの袖や裾を確認する。僕の気持ちも、知らないで……。 「本当だねえ。コンセプトの『かわいい女の子の作り方』にピッタリだわ」  姉は僕の気持ちを知ってか、ニヤニヤしている。  たとえ恥ずかしくても、着替える訳にはいかない。今僕が着ているTシャツは、桃花さんとアパレルブランドとのコラボTシャツだから。  二人の言っていた『大事な時期』とは、この服の事だった。売り上げのいくらかが、桃花さんに入るそうだ。  ミニスカートは恥ずかしいけれど。撮影は、頑張らないと! 「蓮。ありがとう」  桃花さんがそっと耳打ちする。またあの、甘い香りが漂った。
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