ハリネズミな彼女

呼び出し

　高校生の勉強は、難しい。数学の公式は呪文みたいだし、古文はもう、日本語とは思えない……。
　小テストすら満足な点数が取れず、まだ一学期の途中だと言うのに、僕は早くも留年の心配をしていた。

　もし運動が得意だったら、部活に打ち込んで、推薦で進学を目指せたのかな。時々、そんな事を考えてしまう。それくらい僕は、勉強が苦手だ。

　ピロン♪

　放課後になったとたん、携帯が鳴った。通知を確認すると、姉からだった。

　珍しいなと思いながら、内容を確認する。

『今から来て』

　今からって、どこに？

　ピロン♪

　返事を返す前に、地図が送られてきた。ノーと言う選択肢は、初めから無いらしい。これは、行かないとぶっ飛ばされるな……。

　幸い、あまり遠くはない。僕は、深く考えず、言われた場所へ向かった。

「ここで、いいのかな？」

　地図の通りに駅から歩いて着いたのは、四階建てのビル。姉の送った地図によると、ここの最上階らしい。

　ここがどこかはよくわからないけど、とりあえず目的地へ向かうため、ビルの中にあるエレベーターに乗った。