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私は大学に通うために、地元を離れ、他県で一人暮らしを始めた。
明日は、地元で高校の同窓会がある。だから今夜、夜行バスで地元に帰ることになっている。
「でも、もう高校の同窓会なんだね。早くない?まだ私たち、大学2年生じゃん?」
「私もそう思ったんだけど、同級生の3回忌に合わせてるみたい」
「あー……なるほどね」
そんな話をしているうちに、時間はあっという間に過ぎて、講義が終わった。
アパートの近くまで奈津美と一緒に帰り、休む間もなく帰省の支度に取り掛かる。
スーツは実家に置いてあるから持たなくていいんだっけ。
私はキャリーバッグに荷物を詰めながら、そんなことを考える。
正直、同窓会に行くのは気が重い。
同級生たちに会ったら、嫌なこともツラいことも、思い出しそうで。
だから最初は、不参加にしようと思った。
だけど3回忌と一緒にやるって聞いて、参加することを決めた。
葛藤はあったけど、逃げない道を選びたかった。
とは言え、今から緊張する。
荷物をまとめた後、軽くシャワーを浴びて、私はアパートを出発した。
駅まで数分歩き、バスのロータリーで夜行バスを待つ。
連休のない普通の週末だからか、夜行バスを待つ人は少ない。
ロータリーに到着したバスも、ほとんど乗客はいなかった。
トランクにキャリーバッグを預け、無人に近いバスに乗り込んだ。
窓の外を眺めていると、同窓会に行くからなのか、ふと高校生の頃のことを思い出した――
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