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*13* 風穴
花火大会の翌日から、夏休みが明けるまで、私は抜け殻みたいに空虚なまま、日々を過ごした。
別れるって決めてたんだったら、どうして最後にキスなんかしたの?
忘れたくったって、忘れられないじゃん――。
花火大会の時のことを思い出しては、視界が涙で滲む。
じゃあ、あの時キスされなかったら、忘れられてた?
ちゃんと過去にできてた?
……忘れられないのは、キスのせいじゃないって、わかってる。
毎日同じことを考えて、否定して、思考を止める。
ただそれを繰り返していた。
唯織くんのことを忘れられないのは、たくさんの思い出と
――私のこと、もう好きじゃないの?
――好きだよ。
あのやり取りのせいだ。
好きなら、一緒にいてくれたらいいのに。
私の為なんて、綺麗ごと言わないでよ。
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