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あなたが憧れている恋愛は、自分が好きな人と叶わなければ楽しくないし。
好きな人と結ばれても、永遠って訳じゃない。
結ばれた後で別れたら、たくさん傷つくんだよ。
あなたが思ってるよりもずっと――楽しいものじゃなかったよ。
…って。
こんなツラい思いするなら、恋なんて知らなくてよかったのに。
一階のリビングに行き、誰もいないキッチンへ入る。
パントリーに置いてあるカップラーメンを取り出して、作り方通りにお湯を注いで、3分待った。
カップラーメンを食べて部屋に戻ると、またベッドに横になった。
何かしないと、と思うけど、気力が湧かない。
何かして考える時間をなくせば、唯織くんのこと、忘れられるのになぁ…。
――この手、離したくないな。
初めて手を繋いだ時の、唯織くんの声が脳裏で蘇る。
あの日は、まだ夏の暑さが残ってて、でも外にいたくて公園をブラブラ歩いたりなんかして。
あの時の唯織くんの表情も、手を繋いだ時のぬくもりも、全部思い出せるのに、もう、二度とこの手を繋ぐことなんてないんだよね。
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