*13* 風穴

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あなたが憧れている恋愛は、自分が好きな人と叶わなければ楽しくないし。 好きな人と結ばれても、永遠って訳じゃない。 結ばれた後で別れたら、たくさん傷つくんだよ。 あなたが思ってるよりもずっと――楽しいものじゃなかったよ。 …って。 こんなツラい思いするなら、恋なんて知らなくてよかったのに。 一階のリビングに行き、誰もいないキッチンへ入る。 パントリーに置いてあるカップラーメンを取り出して、作り方通りにお湯を注いで、3分待った。 カップラーメンを食べて部屋に戻ると、またベッドに横になった。 何かしないと、と思うけど、気力が湧かない。 何かして考える時間をなくせば、唯織くんのこと、忘れられるのになぁ…。 ――この手、離したくないな。 初めて手を繋いだ時の、唯織くんの声が脳裏で蘇る。 あの日は、まだ夏の暑さが残ってて、でも外にいたくて公園をブラブラ歩いたりなんかして。 あの時の唯織くんの表情も、手を繋いだ時のぬくもりも、全部思い出せるのに、もう、二度とこの手を繋ぐことなんてないんだよね。
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