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*プロローグ*
あの頃、私は誰かに告白されることを強く夢見ていた。
でも、あの頃の私は幼くて、人から寄せられる好意を軽視していた。
恋愛感情は、単純で、わかりやすいものだと思い込んでいた。
本当はそうじゃない。
人の好意はもっと複雑で、軽く見ちゃいけないものだって、
私に教えてくれたのは、君でした。
◆◇◆◇
「今日の講義でラストでしょ?終わったら、タピりに行かない?」
友達の奈津美(なつみ)に話しかけられ、私はノートを書く手を止めた。
「…ごめん、今日は予定が」
「そうなの?」
奈津美がスマホの画面で時間を確認する。
「バイト?」
「ううん。夜行バスで地元に帰らなきゃいけなくて」
私が答えると、奈津美は何かを思い出したように頷いて、それから小声で
「そっか。前に言ってた高校の同窓会、明日だっけ?」
と聞いて来た。私は「うん」と頷く。
それからスクリーンに映された講義内容をノートに写す作業を再開した。
「じゃあ仕方ないかぁ」
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