ぼくは歩く、森の中

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ぼくは歩く。夏の森を。 空には太陽が爛々と輝いていて、地面からは湯気が立ち上りそう。 暑い、暑い、熱い。 見れば、周りの木たちもゆぅらゆぅらと心許なさげに揺れているものがいくつかいる。 ああ、まずい。 そう思ったら、空からポツリと水の粒が落ちてきた。 次の瞬間、景色は一気に土砂降りとなった。 もちろんぼくもずぶ濡れだ。近くの大きな木へ逃げ込まないと。 雨がしのげる場所に着くと、周りにはぼくと同じようにずぶ濡れの仲間たち。思わず知らない仲間が集まって愚痴をこぼし始める。 暑いの嫌。濡れるの嫌。疲れた嫌。 みんな、みーんなもう嫌。 空よりもどんよりと暗くなる木の下で、歌が聞こえ始めた。 こんなときこそ笑って歌おう♪ 天気はいつでもワガママだから♪ 僕らも負けずに自由に歌え♪ 空はいつの間にか晴れていて、少しだけ涼しくなっていた。 ぼくは歩く。 変わりゆく夏の森を。 森も空もぼくたちも、一歩歩く度に変わっていく。
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