Chapter.1

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【01】  夜の山はいつもと違って見えた。 宮崎進夢[みやざき すすむ]の足元は 懐中電灯のか細い光でのみ照らされている。 “退屈は心の毒である” 昔、どこかの偉人がのたまった言葉を 進夢は自分の金科玉条として掲げている。 同じ様な事を繰り返す、 ぬるま湯の様な毎日に我慢ならなかった。 進夢は一息ついて天を仰ぐ。 木々の隙間で幾多もの星が瞬いていた。 夜空を見上げた時 視界には数万の星が映るといわれている。 三十分ほど前 その一つが夜空からこぼれ落ちた。 それは一直線に夜空を滑ると 近所の山に墜落する。 落下地点はおそらく“星空広場”。 広場は、木々が少なくベンチがある為 夜には天体観測をする人々が時折訪れる。 果たして、その予測は正しかった。 進夢の視線の先、星空広場の中央で 巨大な塊が地面をえぐっていた。 進夢は慎重に近づき “宇宙からの落とし物”を照らす。
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