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 ジョーイがまた家出した。  ジョーイ! 愛しのジョーイ! 「どこ? ジョーイ! ジョーイ!」  呼んでも当然返事はない。  リビングに飾ってある写真立てを見た。私とジョーイが写っている。  私はジョーイを抱っこして満面の笑みを浮かべている。ジョーイは無表情だ。 「ジョーイ、どこに行ったの……」  悲しい……。 「いつものおまじないをしたら?」  台所で夕食の支度をしている母に言われた。 「ジョーイー!」 「もういないわよ。猫だからすばしっこいのよ」  母に言われて、それはそうだと妙に納得した。  茶色くてふわふわと長い毛並みのジョーイ。我が家の愛猫ジョーイ。  ジョーイには家出癖があるのだ。  夕食前で母は支度にかかりきり、私もシャワーを浴びたりしていて、目を離したすきに出て行ったらしい。 「もう、本当にジョーイったら……」  思わずひとりごとが出た。でも言ってもしょうがないかとすぐに思いなおした。 「えっと、紙、紙……」
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