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俺には姉がいた。ちょっと腹黒いけど、優しくて、美人だった。 姉が死んだのは今から5年前、まだ俺が小学6年生の時。原因は病気。ガンとかの有名なものではなく、所謂奇病と言うもので、姉ちゃんも世界で数人しか症例がなく治療法もほぼないようなものにかかってしまった。 どんな病気で名前とかも思い出せない。いくら最高学年とは言え小学生だ。あの時のおれにはまだ何も理解できなかった。 そんな姉が死んだとき、俺はかなり落ち込んだ。自分で言うのもあれだがシスコンって言われてもおかしくないくらい姉のことが好きで、いつもあとを追っていた。 姉がもういないと思うと涙が止まらなかった。 しかしいつまでも落ち込んではいられないと、自分に鞭を打った。情けないと姉に笑われる気がしたって言うのもあるけど、一番は姉が安心して天国に行けるようするためだった。 秋の終わりを思わせるひんやりとした空気を感じるこの時期になるとどうしても死んだ姉のことを思い出してしまう。
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