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土曜日。父は朝からせかせかと掃除をしていた。玄関、トイレ、お風呂場、リビング、ソファの下、廊下、寝室。
いや、何個かやんなくても良いところ掃除してるような、、、。
いつもよりテキパキと動いているのを見ると、そんなに尊敬する上司なのかと思う。それか口うるさい感じなのかな。
夕方に差し掛かったところで、買い出しに行き、俺はお刺身や小鉢を作り出した。
父は服を何着か着て、俺にどれが良いか質問してくる。
出掛けるわけでもないんだから、そんなにおしゃれにしなくても良いんじゃないか?
というアドバイスの元、普通にシャツを着ることになった。
そして、掃除も着替えも終わり、手持無沙汰なのか携帯を弄ったり小物の配置を考えている。
そんなに緊張すると、俺も緊張するんだよな。
強面だったらどうしようとか、話が途切れないだろうかとか。
6時10分前に父の携帯が鳴った。
うわっ!と言って慌てて出る父。
「はい、大原です。はい、あ、そうです。2階の218です。はい。お待ちしてます。はい、じゃあ失礼します」
どうやら着いたらしい。本人が目の前にいないのに、背筋を伸ばして、軽く頭を動かしている。
あー、緊張する。こんなことなかったからな。あ、俺ってその場にいた方がいいのかな。
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