精霊舟

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「ヒサオじゃなかとね…」 不意に後ろから声を掛けられた。 懐かしい顔だった。 死んだばあさんの妹で、近くに嫁いだ和子小母さんだった。 「和子小母さん」 和子小母さんは顔をくしゃくしゃにして微笑みながら私の傍に来た。 「いつ帰って来たとね…」 私の袖を掴む様にして言う。 「今日の朝、帰って来た」 和子小母さんは何度か頷き、 「お盆じゃけんね」 と言う。
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