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イヤだ。と付け加えた匤也の隣に座って、手に持っていたプリントを彼の顔に押し付ける。
ちいさな愚痴を零しながら奪い取ったプリントに視線を落とした匤也の目が、怪訝そうなものからゆっくりと緩んでいく。
「…っふは、何だよこれ。彼氏の嫁って超傑作」
「書き直しって返されたの。意味わかんないよ。こっちは大まじめだっての」
「いや、おまえバカだろ、頭沸いた?」
「ちょっと匤也、それどーゆーことよ!」
デリカシーのない奴。
私だってビシッと決まった進路を書いてみたいよ。その肝心な目標が降りてこないんだよ。
笑い続ける匤也からプリントを奪い取って腕の中に隠せば、それすらも面白可笑しいとさっきまでの不満顔を取り剥がすのだから尚更ムカつく。
「つーか、弓。それ三者面談で親に見せられるんじゃねーの?」
「……そーだよ。だから書き直せって言われたの」
ようやく笑いがおさまった様子で、またひとくち、イチゴオレを飲んだ匤也は、自分で言ったわりに面倒臭そうな表情を浮かべた。
「三者面談めんどくせぇって思ってるでしょ」
「逆によろこぶヤツいるわけねーし」
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