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掴んだ手を離さないままいる亜蓮。
私が体を起し座ると亜蓮の片方の手が頬に触れてきた。
何… どうしたの?
「 社… 」
「 俺を見たな 」
「 え、見てますよ 」
「 俺を一番に見たな 」
「 はい 」
だって見ちゃうでしょ、いつの間にか膝枕だし、社長いるし。
見ないわけないし。
「 目覚めて最初に見た奴に懐くもんだよな 」
……それって雛鳥とかじゃないかなぁと思うけど言わないでおこう。
「 莉唯、俺のそばで目覚めてくれて感謝する 」
「 はぁ… 良かったです 」
そんな事で感謝されるなんて初めてで、少し戸惑うが、次は違った。
「 さ、しようか!目覚めの運動を!」
「 えっ、あ、ちょっ… えー!!」
亜蓮が私を姫抱きし真っ赤なソファからベッドへ有無を言わさず移動。
それはとても軽やかに……
そんな関係が私の疑問を生む。
出会いを思えば尚更だった。
私と亜蓮の関係はいったいどう言葉で表すのが正しいか。
甘いだけの二人だけの時間は亜蓮のなすがままに。
流されてしまう女は私。
ハッキリしたいがわからない。
「 莉唯 」
耳に亜蓮の声が甘く静かに入ってくる。
優しい声……
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